「親が突然倒れた。これからどうすればいいんだろう……」

私自身も数年前、父が心臓疾患で入院と同時に母の認知症と肺がんがわかり、同じ気持ちを味わいました。
「介護ってどこに相談すればいいの?」「手続きは何から始めるの?」と頭の中が真っ白になったのを今でも覚えています。

親の介護が必要になったとき、多くの人が「何から始めればよいかわからない」という状態に陥ります。
しかし実は、最初に動くべきことはある程度決まっており、順番を知っているだけで混乱を大きく減らすことができるとわかりました。

この記事では、初めて親の介護に直面した方に向けて、最初にやるべき7つのことを、
手続きの流れや利用できる制度とあわせてわかりやすく解説します。
「親の介護 何から始める」「親が倒れたら 最初にやること」と検索してたどり着いた方に、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

親の介護で最初に知っておきたいこと

介護は突然始まるケースが多い

介護は「いつかのこと」ではなく、ある日突然やってくることがほとんどです。
厚生労働省の調査によると、要介護状態のきっかけとして最も多いのは脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)で、
次いで認知症骨折・転倒と続きます。
いずれも、ある日突然、生活が一変するケースです。

「うちの親はまだ元気だから大丈夫」と思っていても、翌日には状況が変わっているかもしれません。
だからこそ、介護が始まった直後に慌てないための基本的な知識と動き方を知っておくことがとても大切です。

一人で抱え込まないことが大切

介護が始まると、つい「自分が何とかしなければ」と一人で抱え込んでしまいがちです。
しかし、介護は長期戦です。最初から一人で頑張りすぎると、介護者自身が心身ともに疲弊してしまい
親を支えることができなくなってしまいます。

日本には、介護を支えるための制度や相談窓口が数多く用意されています。
「公的なサービスに頼るのは申し訳ない」「家のことを話すのは恥ずかしい」と感じる方もいますが、
そう思う必要は全くありません。
一人で悩む前に、まず相談することを強くおすすめします。

親の介護で最初にやること7選

介護が始まった直後は、やるべきことが多くて頭が混乱しがちです。
しかし焦らなくて大丈夫。
次の7ステップを順番に進めていきましょう。

① 親の現在の状況を確認する

まず最初にすべきことは、親の今の状態を正確に把握することです。
・どんな病気を抱えているか
・認知症の症状はあるか
・日常生活(食事・排泄・入浴・移動)はどこまで自分でできるか
——これらを整理しておくことが、この後の手続きや支援選びの土台になります。

主治医や病院のソーシャルワーカーに
「今後の生活にはどんなサポートが必要ですか?」と率直に聞いてみるのも、非常に有効です。
医療と介護の橋渡しをしてくれるソーシャルワーカーは、
入院中の病院であれば多くの場合に配置されています。
遠慮せず活用しましょう。

② 家族で話し合う

親の状況を把握したら、次は家族全員で話し合いの場を設けることが重要です。
特に、きょうだいがいる場合は早い段階で集まり、
以下のような点について認識をそろえておきましょう。

  • 誰が中心になって介護を担うか
  • 介護費用の負担はどう分担するか
  • それぞれがどんな形で関わるか(物理的なサポート、金銭的な支援など)

後になって「聞いていない」といったトラブルが起きやすいのが、介護の現実です。
オンライン通話を使えば、遠方のきょうだいも参加できますので、ぜひ早めに実施をおすすめします。

③ 地域包括支援センターへ相談する

「どこに相談すればいいかわからない」という方に、まず知っておいていただきたいのが地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは、各市区町村が設置している介護・福祉の総合相談窓口で、
介護保険のこと、在宅サービスのこと、施設入所のこと、何でも無料で相談できます。
「要介護認定を受けるにはどうすればいいか」という基本的な質問から、
「仕事を続けながら親を支えるにはどうすればいいか」という複雑な悩みまで、
専門のスタッフが丁寧に対応してくれます。

お住まいの地域のセンターは、市区町村の窓口や「地域包括支援センター 検索」などで調べることができます。
電話一本で相談できますので、まずは気軽に連絡してみてください。

④ 要介護認定を申請する

介護保険サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。
これは「親がどの程度の介護を必要としているか」を公的に判定してもらう手続きで、
認定結果によって利用できるサービスや支給限度額が変わります。

申請は市区町村の介護保険担当窓口か、地域包括支援センターに依頼することで行えます。
(私の場合は、両親の入院中に病院から色々提案してもらえました。)
申請後は、認定調査員が自宅や病院に訪問して状態を確認し、
後日認定結果が通知されます。(混み合っている時は少し時間がかかります。)

▼ 要介護認定の流れ
ステップ 内容 目安期間
① 申請 市区町村窓口または地域包括支援センターへ申請書を提出 当日〜数日
② 認定調査 調査員が自宅・入院先を訪問。74項目の心身状況を確認 申請から1〜2週間
③ 主治医意見書 市区町村がかかりつけ医に意見書を依頼・取得 並行して進む
④ 審査・判定 介護認定審査会が一次判定結果と意見書をもとに審査 申請から2〜4週間
⑤ 認定通知 「要支援1〜2」または「要介護1〜5」の認定結果が郵送で届く 申請から原則30日以内

認定結果が届く前でも、申請した日に遡ってサービスを利用できる場合があります。
急いでサービスが必要なときは、まず申請を済ませることが優先です。

⑤ ケアマネジャーを探す

要介護認定が下りたら、次はケアマネジャー(介護支援専門員)を選ぶことになります。
ケアマネジャーは、親の状態や希望に合わせてケアプラン(介護サービス計画)を作成し、
デイサービスやヘルパー派遣などのサービスを手配してくれる、介護のコーディネーター役です。

担当ケアマネジャーとは長いつき合いになることが多いため、
「話しやすい」「こちらの意見を尊重してくれる」と感じる人を選ぶことが大切です。
地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談すると、近隣の居宅介護支援事業所を紹介してもらえます。

入院中は、病院のケアマネージャーに相談することも可能な場合が多いです。

⑥ 介護費用を確認する

介護にかかる費用は、家庭の状況によって大きく異なります。まず、親の収入(年金)と貯蓄がどのくらいあるかを正確に把握することが先決です。その上で、介護保険サービスの自己負担(原則1割〜3割)や、施設入所を検討する場合の費用感を確認しておきましょう。

▼ 主な介護サービスの費用目安(自己負担1割の場合)
サービス 内容 費用目安(月額)
訪問介護(ホームヘルパー) 自宅に来て身体介助・生活援助 約5,000〜30,000円
デイサービス(通所介護) 施設に通って入浴・食事・リハビリ 約15,000〜40,000円
特別養護老人ホーム(特養) 常時介護が必要な方の入所施設 約50,000〜130,000円
有料老人ホーム 民間運営の介護・生活サポート施設 約100,000〜300,000円以上

また、「高額介護サービス費制度」など、費用を抑えられる公的制度もあります。後述しますので、ぜひ確認してください。

⑦ 仕事との両立方法を考える

「介護のために仕事を辞めなければならないかも」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、介護離職はできる限り避けることをおすすめします
介護は平均4〜5年、場合によっては10年以上続くことがあり、
仕事を辞めてしまうと経済的・精神的に追い詰められるリスクがあります。

日本には、仕事と介護を両立するための法律上の制度が整っています。
まずは職場の人事担当者や上司に相談し、どんな制度が使えるかを確認しましょう。

▼ 仕事と介護を両立するための主な制度
制度名 内容 ポイント
介護休暇 介護のために年5日(対象者が2人以上なら10日)取得できる休暇 1日または半日単位で取得可能
介護休業 通算93日まで、3回に分けて休業できる制度 給付金(賃金の67%)の支給あり
所定労働時間の短縮 介護のために勤務時間を短縮できる 利用開始から3年間で2回以上の措置

親の介護で利用できる主な支援制度

介護費用の負担は決して小さくありませんが、日本には様々な公的支援制度があります。
制度を知っているかどうかで、家計への影響が大きく変わってくる場合があります。ぜひ確認しておきましょう。

介護保険サービス

介護保険は、40歳以上の全ての人が加入する社会保険制度で、
要介護・要支援認定を受けた方が介護サービスを1〜3割の自己負担で利用できるしくみです。
在宅サービス(訪問介護・デイサービスなど)から施設サービス(特別養護老人ホームなど)まで、
幅広いサービスをカバーしています。

高額介護サービス費制度

1か月に支払った介護サービスの自己負担額が一定の上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。
上限額は所得に応じて異なります。
申請は市区町村の窓口で行います。高額な施設サービスを利用する場合は特に重要な制度です。

介護休業給付金

前項でも触れましたが、介護休業を取得した場合、雇用保険から休業前賃金の67%相当の給付金が支給されます(雇用保険の被保険者が対象)。
申請はハローワークを通じて行います。
「介護のために収入がゼロになってしまう」という心配を和らげてくれる制度ですので、
積極的に活用してください。

自治体独自の支援

介護保険では賄えないサービスを補う形で、各市区町村が独自の支援サービスを提供している場合があります。
例えば、配食サービス、緊急通報システムの貸し出し、移送サービス、家族介護者への慰労金など、自治体によって内容はさまざまです。
まずは地域包括支援センターや市区町村の介護担当窓口に「どんな独自サービスがありますか?」と聞いてみましょう。

親の介護でやってはいけないこと

介護が始まったとき、良かれと思ってやりがちだけれど、実は避けた方が良い行動があります。
後悔しないために、ぜひ頭に入れておいてください。

一人で抱え込む

「自分が頑張らないといけない」という気持ちは理解できます。
しかし、介護は長い道のりです。
一人で抱え込むと介護者が燃え尽きてしまい(介護燃え尽き症候群)、最終的には親への介護の質も下がってしまいます。
きょうだいや地域の支援を積極的に頼り、チームで介護する意識を持つことが大切です。

介護離職を急いで決める

「仕事を辞めてでも介護に専念しなければ」と感じる方もいますが、
介護離職は慎重に考える必要があります
一度仕事を辞めると、再就職が難しかったり収入が大幅に減ったりするリスクがあります。
まずは介護休業や短時間勤務など、仕事を続けながら介護と両立する方法を探してみてください。

制度を調べず自己負担で対応する

知らないと損をするのが介護の世界です。
「こんな制度があったなんて知らなかった」「もっと早く申請すれば良かった」という声は非常に多くあります。
介護保険サービス、高額介護サービス費、介護休業給付金など、使える制度は積極的に活用しましょう。
地域包括支援センターでは、利用できる制度のアドバイスも無料で行ってくれます。

親の介護に関するよくある質問(FAQ)

Q. 親の介護はどこに相談すればいいですか?

A. まず地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。介護保険、在宅サービス、施設入所など幅広い相談を無料で受け付けており、必要に応じて専門機関を紹介してくれます。市区町村のホームページや電話でセンターの場所を確認できます。

Q. 要介護認定にはどれくらい時間がかかりますか?

A. 申請から認定通知まで、原則として30日以内とされています。ただし、審査が込んでいる場合などは60日程度かかるケースもあります。急いでサービスが必要な場合は申請時に申し出ることで、認定前でも暫定的にサービスを利用できる場合があります。

Q. 介護費用は月いくらくらい必要ですか?

A. 在宅介護か施設介護か、また要介護度によって大きく異なります。在宅介護の場合は月2〜10万円程度が一般的ですが、施設に入所する場合は月10〜30万円以上になることもあります。高額介護サービス費などの制度を活用することで負担を減らすことができます。

Q. 仕事を続けながら親の介護はできますか?

A. できます。介護休業(通算93日)や介護休暇(年5〜10日)、短時間勤務制度など、仕事と介護を両立するための法的制度が整っています。また、デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスを上手に組み合わせることで、日中の介護負担を大幅に減らすことも可能です。まずは職場の上司や人事担当者に相談してみてください。

まとめ:最初の一歩を踏み出すために

「親の介護 何から始める?」という問いに、この記事でお答えしてきました。最後に、最初にやるべきことをチェックリスト形式でまとめます。

  • ☑ 親の現在の状態(病気・認知症の有無・生活の自立度)を確認した
  • ☑ きょうだいや家族と話し合い、役割分担を決めた
  • ☑ 地域包括支援センターへ相談した(または連絡先を調べた)
  • ☑ 要介護認定の申請をした(または申請の手順を確認した)
  • ☑ ケアマネジャーに相談・依頼した
  • ☑ 親の収入・貯蓄と、利用できる費用補助制度を確認した
  • ☑ 職場に介護の状況を相談し、利用できる制度を確認した

介護が始まったばかりの今は、とにかく不安でいっぱいだと思います。でも大丈夫です。最初にやることは決まっています。一つひとつ、順番に進めていきましょう。

私も最初は途方に暮れましたが、地域包括支援センターに電話した日から少しずつ道が見えてきました。相談することを恐れないでください。あなたの地域には、必ずサポートしてくれる人がいます。

この記事が、初めての介護で迷っているあなたの少しでも力になれれば幸いです。